社会復帰編2「ウツでひきこもりの私が2.5次元と出会った話」
漫画:アラサー引きこもり女が2.5次元で社会復帰した話
2「ウツでひきこもりの私が2.5次元と出会った話」
↓前回のお話
10年前ウツから復職後リストラにあったプル子さん。以前より悪化した状態でウツがぶり返し起き上がれないほどメンタルがズタボロになりました。
20代後半で全てを失い「あ~人生終わったわ~」と思っていた時、「あるもの」と出会います。
ひきこもりアラサーと2.5次元の出会い
27歳で人生が詰んだ
当時の私は会社勤めの他に商業のBL漫画や小説挿絵の仕事もしていました。
しかし以前より酷いウツになってしまった事によって、ペンタブで線を引いてもガタガタになる、そもそも人の形が描けないなど基本的な作業ができなくなり、当時お誘い頂いていた仕事を全てお断りする事になってしまいました。
当時の担当さんには大変な迷惑をかけ、今でも本当に申し訳なく思っています。
こうして会社もクビ、漫画も描けなくなった私は自分の存在意義を完全に見失ないました。
最初は自責の念に駆られていましたがやがて感情の起伏を失い色や気温を感じられなくなり、27歳にして完全に人生が詰んだと思いました。
人生詰んだ私と友達が貸してくれたDVD
ひきこもっていた私の日常はとにかく横になり、ノートパソコンでネットサーフィンをしたり求人サイトを見るという状態でした。
そんな時、ひきこもる前に友達から借りたDVDが目に入ります。
それは人気漫画を舞台化した「ミュージカル・テニスの王子様」のDVDでした。
現在は「若手俳優の登竜門」といわれるほどの人気を誇るテニミュですが当時はいわゆる「空耳ミュージカル」として有名でした。私は何の期待もなしにDVDを再生してみました。
下手だけど死ぬほど一生懸命
私が初見で感じた印象は
とにかく演技も歌も微妙。
今まで見たことのない雰囲気に動揺しながらも、映像の中のキャストさん達が死ぬほど一生懸命だったのでついつい最後まで見てしまいます。
テニミュのDVDにはバックステージ映像という舞台裏の様子が特典として収録されています。一生懸命練習し公演を精一杯楽しもうとしているキャスト一同の姿にどんどんひきこまれ、気づいたら続きのDVDを再生していました。
成長するミュージカル
テニミュの出演者は基本的にしばらく同じメンバーで公演を続け、一定の期間を経て「卒業」という形で各キャストが入れ替わります。
最初は演技も歌もおぼつかなかったキャスト達が公演を続けるうちにどんどん成長し、最終的には見違えるほどの上達を見せ卒業していくのです。
バックステージ映像で感じる親近感とともに、公演を終えるごと成長していくキャスト達を見ていると、仕事もできず漫画も描けなくなった自分でも今から頑張ればまた何かできるようになるかもしれないという気持ちになりました。
10年前なぜ2.5次元ミュージカルに励まされたのか
努力と成長をリアルタイムで感じられる新しい形のエンタテイメント
こうして2.5次元ミュージカルによって心を動かされた私はようやく(物理的に)立ち上がることができ、社会復帰すべく奮闘する事になります。
何故ここまで「10年前のテニミュ」が私にとって良薬となったのか。
それは
「努力と成長をリアルタイムで感じられる新しい形のエンタテイメント」
だったからだと思います。
それまでの舞台やミュージカル、映画やテレビ番組で出てくる俳優さんは既にある程度の才能や実力が備わっている状態で、過去の苦労エピソードなどを聞いてもいまいち共感できませんでした。
しかしテニミュでは演技経験が浅い段階からキャストを追えるので「キャストが努力した結果成長する」という姿を実際にこの目で見る事ができます。私が見たのは過去公演のDVDでしたが、順を追って見ているとまるで彼らがリアルタイムで成長しているように感じられました。
ウツと人間不信によってどんな言葉も心に響かなくなっていた当時の自分は、彼らが見せてくれた言葉じゃないひたむきな努力と成長に魂を揺さぶられたのです。
(※ちなみに現在「若手俳優の登竜門」となったテニミュはデビュー当初からキャストの実力がとても高く、2.5次元ミュージカルの楽しみ方も多様化しています。)
詰んだはずの人生が急激に動き出す
さて、2.5次元ミュージカルの楽しさを知ったプル子さん。これから謎の俳優イベントに行ったり転職活動したりスーパーでバイトしたり沖縄のご当地ヒーローにハマり飛行機+レンタカーでの一人旅をするようになったり婚活したりと、詰んだはずの人生がめまぐるしく動き始めます。
次の記事「社会復帰編3」に続きます
↓番外編
↓シリーズ第1話(社会復帰編)
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昔BL漫画描いてたアラフォーエッセイ漫画家です。